どのような世界にもマニア、好事家の類はいるものです。 世にも珍しい介護保険請求のマニアの部屋へようこそ。 このマニアの部屋でご紹介するのは、介護保険の料金計算のルール。 本当は、こんなこと知らなくてもいいんです。だって、全部請求ソフトが全部計算してくれますから。 でも、知っておくとちょっと、ほんのすこーし、便利かもしれません。

請求のおねえさん

ナビゲーターは、介護保険請求マニアである「請求のおねえさん」。細かな国保連請求ルールと格闘するうちに世にも珍しいマニアになりました。
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    羊さん

    今日のお相手は、介護事業所で働く「羊さん」。最近国保連請求を担当することになりました。
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      令和3年4月施行版のサービスコード表を眺めていたら、「給付管理用単位数」という列があるページがありました。これは何でしょう?

      はい、通所系サービスと多機能系サービスのページに追加されていますよね。
      これは、サービス利用者のサービス利用機会が公平になるように、一部のサービスの給付額管理の計算に用いる単位数の取り扱いが見直されたことにより掲載されるようになりました。
      羊さんは、前回前々回と、区分支給限度基準額のお話をしたのは覚えていますか?

      はい、介護度ごとに区分支給限度基準額が単位数で決まっていて、ケアマネさんが利用者さんの状況に合わせてどのサービスで何単位使うかを管理しているというお話でした。

      そうでしたね。ここでは、令和3年4月の法改正で区分支給限度基準に係る給付管理の計算方法が変更になったサービスになったサービスを確認しましょう。

      大規模型通所系サービスを利用する場合

      通所介護、通所リハビリテーションの大規模型事業所を利用する利用者の給付額管理については、通常規模型の単位数を用いる

      令和3年3月までの制度では、通所系サービスだと、利用する事業所の規模によって利用できるサービスの回数に差がついてしまうケースがありました。

      例えば通所介護サービスだと、大規模型事業所と通常規模型事業所では大規模型事業所の方が基本報酬のサービス単位が低く設定されているので、改正前の計算方法だと大規模型事業所の利用者さんの方が通常規模事業所の利用者さんよりも多く介護保険として利用できるサービスを割り振ることもできました。

      そこで、この不公平を解消するために、大規模型事業所の利用者についても、通常規模型の単位数を使って区分支給限度基準額の計算をすることになりました。

      下の表は令和3年4月施行版のサービスコード表の通所介護サービスの基本報酬部分の抜粋ですが、大規模型通所介護費の給付管理単位数列には「通常規模型」の単位数が表示されています。

      通所介護サービスコード

      多機能系サービスで集合住宅に居住する利用者さんにサービスを行う場合

      小規模多機能型居宅介護等において、集合住宅に住んでいる人(同一建物に居住する者)に対して行う場合の給付額管理については、集合住宅に住んでいない人(同一建物に居住する者以外の者)に対して行う場合の単位数を用いる

      小規模多機能型居宅介護サービスの基本報酬部分の抜粋を見てみると、同一建物に居住する者に対して行う場合の「給付管理単位数」には「同一建物に居住する者以外の者に対して行う場合」の単位数が表示されています。

      なるほど、ケアマネジャーさんが区分支給限度基準額の計算をしやすいように、サービス単位とは別に給付管理用の単位数が併記されているんですね。
      でも、一つのサービスに二つの単位数があると、請求業務のときややこしくなってしまいませんか?

      レセマニアの腕がなりますね!
      区分支給限度基準額を超えた分が利用者さんの全額自己負担になりますが、その計算には特に注意が必要ですね。
      せっかくの機会なので簡略化した2つのパターンを一緒に確認してみましょう。

      (例1)1つの大規模型通所介護事業所を利用していて、区分支給限度基準額を超える場合

      (例2)「大規模型通所系サービス」と「他サービス」を合計して限度額を超えた場合のうち「他サービス」から限度調整する計算例

      実際にはもっといろんなパターンが想定されますが、詳しくは厚生労働省発表の「介護保険最新情報 Vol.947」も見てみてくださいね。10個のパターンが例示されています。

      (例1)1つの大規模型通所介護事業所を利用していて、区分支給限度基準額を超える場合

      (例1)1つの大規模型通所介護事業所を利用していて、区分支給限度基準額を超える場合 ステップ①

      保険給付対象の回数分は、通常規模型の単位数(給付管理単位数)で計算する。
      保険給付対象を超えた回数分は、大規模型の単位数で計算する。

      (例1)1つの大規模型通所介護事業所を利用していて、区分支給限度基準額を超える場合 ステップ②~⑤

      「区分支給限度基準内単位数(給付計画単位数)」=「実際に提供した大規模型サービスの単位数」-「区分支給限度基準を超える単位数」で計算する。

      (例1)1つの大規模型通所介護事業所を利用していて、区分支給限度基準額を超える場合 ステップ⑥

      今回の例では給付管理票はこのようになります。

      (例1)1つの大規模型通所介護事業所を利用していて、区分支給限度基準額を超える場合 給付管理票

      (例2)「大規模型通所系サービス」と「他サービス」を合計して限度額を超えた場合のうち「他サービス」から限度調整する計算例

      ここでは、訪問介護事業所と大規模型通所介護事業所を利用していて、区分支給限度基準額を超え、訪問介護事業所で限度調整をする計算例を紹介します。

      (例2)「大規模型通所系サービス」と「他サービス」を合計して限度額を超えた場合のうち「他サービス」から限度調整する計算例
      (例2)「大規模型通所系サービス」と「他サービス」を合計して限度額を超えた場合のうち「他サービス」から限度調整する計算例ステップ①
      (例2)「大規模型通所系サービス」と「他サービス」を合計して限度額を超えた場合のうち「他サービス」から限度調整する計算例②
      (例2)「大規模型通所系サービス」と「他サービス」を合計して限度額を超えた場合のうち「他サービス」から限度調整する計算例③
      (例2)「大規模型通所系サービス」と「他サービス」を合計して限度額を超えた場合のうち「他サービス」から限度調整する計算例 サービス利用票(別表)

      こちらの例では給付管理票はこのようになります。

      (例2)「大規模型通所系サービス」と「他サービス」を合計して限度額を超えた場合のうち「他サービス」から限度調整する計算例 給付管理票

      いかがでしたか?利用者さんによって様々なケースがありますので、参考資料なども確認してみてくださいね。

      また、介護ソフト『楽すけ』では大規模通所介護等を含むサービス利用票・提供票を作成する場合、画面でお知らせしています。つながりやすいヘルプデスクの『楽すけ』詳細はこちら

      関連ページ:[FAQ]月間ケアプラン画面にビックリマーク「!」ボタンが表示されました。何ですか?

      参考資料

      介護保険情報 Vol.947 「通所介護等の区分支給限度基準額に係る給付管理の取扱いについて」(令和3年3月22日)[WAM NET(外部サイト)が開きます]

      ※いずれもこの記事を書いた令和4年3月時点の情報です。必ず最新の情報で確認してください。