3年ごとに改正が行われる介護保険制度。介護予防・日常生活支援総合事業(以下「総合事業」という)の施行にあたっては、現行の介護予防給付事業の一部が総合事業へ移行されることになっているため、該当する事業所では、総合事業の指定を新たに取得する必要があります。これらの移行手続きを円滑に行うため措置が総合事業のみなし指定です。では、みなし指定とは具体的にはどんなものなのでしょう? ここで詳しく解説していきます。
みなし指定とは
総合事業の実施により、これまで要支援高齢者に提供されていたサービスは、介護保険制度による給付から、各市町村が実施主体となる地域支援事業に移行されます。
それに伴い市町村では、それぞれの地域の実情に応じた地域作りを推進する取り組みや、住民を主体とした支援体制整備の他、報酬単価や 利用者負担 割合なども独自に判断する必要があります。
また、介護サービス の事業者は、現行の事業を継続しながら、総合事業の指定事業者の許可申請などの諸手続きが生じます。新制度への円滑な移行に向け、市町村、事業者双方の負担軽減を図るため設けられたのが、総合事業の「みなし指定(経過措置)」です。
これにより、総合事業の施行日である平成27年3月31日において、指定介護予防サービスを提供する事業者については、特別な申請なしに総合事業による指定事業者としてみなされることになっています(介護保険法 改正法附則第13条)。
みなし指定を受ける条件
平成27年3月31日までに「介護予防訪問介護」または「介護予防通所介護」の指定を受けた事業所は、施行日である平成27年4月1日に、総合事業の指定(みなし指定)を受けることができます。
みなし指定を受けた事業者は、引き続き総合事業の第1号事業(介護予防・生活支援サービス事業)としてサービス提供が可能です。
みなし指定の有効期間
みなし指定の有効期間は、平成27年4月から平成30年3月末までの3年間です。ただし、市町村によって、総合事業への移行時期が異なるため、早い段階で総合事業への移行が完了し新しい体制が整えば、有効期間が3年未満となる場合もあります。
【追記2018/2/1】
平成30年4月には介護報酬改定の年にあたり、計画通り平成30年3月末をもって「介護予防訪問介護」と「介護予防通所介護」の予防給付は終了となります。また、平成27年4月以降、みなし指定事業所として総合事業のサービスを提供してきた事業所が平成30年4月以降もサービス提供を継続するためには更新手続きが必要になります。保険者ごとに手続きの期限や書式が異なり、また介護報酬改定と同時に総合事業サービスの報酬についても改定する保険者もあるので注意が必要です。
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利用者が別の市区町村に住んでいる場合
総合事業の指定は、事業所の住所がある市町村ではなく、サービス利用者(被保険者)の住所がある市町村のルールから指定を受けなければいけません。
つまり、利用者が、複数の市町村に渡る場合は、それぞれの市町村から指定を受ける必要があるのです。
また、平成30年3月31日までは、事業がみなし指定を受けている自治体の外に住民票がある利用者も申請なしで受け入れ可能ですが、それ以降は利用者の住む自治体に申請が必要になるため注意が必要です。
新制度へ移行するためには総合事業者の許可申請など、諸々の手続きには時間がかかりますが、現行の事業を続けながらその作業をするとなると、慌ただしい毎日でつい後回しにしてしまいます。みなし指定期間が設けられているからと油断せずに、計画を立てて早めに申請を行うようにしましょう。