伝送による介護保険の給付費の請求方法が、2018年3月末をもってインターネット回線を介した請求方法に一本化されます。
これにより、ISDN回線を介して請求をしていた事業所では、インターネット回線による請求方法へ移行する必要があります。
請求方法の変更に伴い、インターネット回線の敷設工事のほか、国民健康保険団体連合会(以下「国保連」)に対しインターネット請求開始の手続きが必要になります。ここでその手続について詳しく説明していきましょう。
介護給付費がインターネット請求に完全移行
介護保険給付対象の 介護サービス を提供した場合、事業者は、保険者である市町村に対し介護保険の給付費の請求を行います。
ただし、ほとんどの市町村で、保険給付の支払いを国保連に委託しているため、事業者から国保連へ請求を行うのが一般的です。
国保連への請求は、介護ソフトで作成した請求データを国保連へ送信する(伝送請求)、または請求データを書き込んだFD、CD-Rなどの電子媒体を提出する、あるいは紙媒体の提出のいずれかの方法で行います。
このうち、伝送請求では、従来ISDN回線のみでの受付となっていましたが、2014年11月よりインターネットを介した伝送請求が可能となりました。
なお、ISDN回線での受付は、2018年3月末に廃止され、インターネット回線を介した受付に一本化されることが決まっています。
ISDN回線を介した請求では、事業所と国保連を直接つなぎ請求情報等が送信されていましたが、インターネット回線を介した請求では、一旦、電子請求受付システム を通じて情報が暗号化された後、国保連へ送信されるため、セキュリティ対策もより強化されるメリットがあります。
これから移行が必要な方
現在、ISDN回線を介して請求を行っている事業所では、2018年3月末の受付停止に向けて、インターネット回線による請求に切り替えなければいけません。
伝送請求をしながらも、どちらの回線を使用しているか分からない場合は、契約中の電話会社に直接問い合わせるか、電話機のそばに置かれた機器のラベルを確認してみます。「ISDN」の表記があればISDN回線、「ADSL」や「FTTH」「光」などの表記があれば、インターネット回線を使用していることを表します。
インターネット開設に必要な準備
ISDN回線からインターネット回線に変更する場合には、具体的にどんなものを準備すればよいのでしょう?
用意するもの
インターネット回線を介した伝送請求へ切り替えを行うには、まず始めに、パソコン、タブレットなどの機器の準備と、インターネット回線の敷設工事を行う必要があります。インターネット回線には、主にADSL、光回線、ケーブルテレビなどの種類があります。なお、集合住宅の一室をオフィスとして借りている場合などは、既にインターネット回線が引かれているケースがあるため管理者に確認してみましょう。
回線の種類を決めたら、それぞれの回線を扱う会社(電話会社など)へインターネット開設の申し込みを行います。同時に、インターネットへの接続サービスを提供する会社(プロバイダ)との契約が必要になりますが、回線を扱う会社で同時に契約出来る場合もあります。敷設工事からインターネット開設まで、1~2カ月かかるケースもあるため、時間に余裕を持って手続きしておきましょう。
必要な手続き
インターネット回線を介した伝送請求へ移行する場合は、請求用のパソコンにインターネット対応の伝送請求ソフトを準備した上、国保連に「介護給付費等の請求及び受領に関する届」を提出します。
その後、国保連から届く「電子請求登録結果に関するお知らせ」に記載される、ユーザーID、仮パスワード、証明書発行用パスワードを用い、インターネットを使って「電子請求受付システム」にアクセスし電子証明書を発行依頼します。
国保連から、電子証明書発行の通知が届いたら、再度、電子請求受付システムへアクセスし、電子証明書をダウンロード。インターネット対応の伝送請求ソフトを起動し、ユーザーIDなどを入力後、テスト請求を行い問題がなければ準備完了です。
2018年の切り替え時期直前になって、請求業務が滞らないよう、あらかじめ移行手続きを済ませ操作に慣れておくようにしましょう。
インターネット請求に移行する際、こちらの記事を読むと経費削減につながる可能性があります
「介護報酬請求の負担を軽減できる代理人請求とは」