介護サービス を提供する施設や事業所で、主にレセプト作成(介護報酬請求書業務)を行う介護事務職は、介護福祉士や社会福祉士などと並び、介護サービス従事者の一員として欠かせない役割を担っています。サービス利用者から利用料についての相談に応じることもありますので、介護保険制度や関連法規についての知識が必要とされます。
介護事務に関する資格の種類として、ケアクラークや介護事務実務士の資格があります。これらは、介護事務職として求められる一定の知識・技能を習得したことを証明する資格です。
ケアクラークの概要と資格取得方法
一般財団法人・日本医療健康財団が行うケアクラーク技能認定試験は、介護事務職に求められる社会福祉制度やレセプト作成についての知識と技能を審査することを目的に実施されています。試験に合格すると、ケアクラークの称号が与えられます。試験は学科試験と実技試験が行われ、それぞれ70%の正答率で合格となります。
学科試験では、レセプト作成や介護保険、関連法域をはじめとした12領域から出題されます。介護技術や高齢障害者とのコミュニケーション方法、基礎医学やリハビリテーションの実際などから25問が出題されます。実技試験は実際に介護給付費明細書を作成する問題です。
介護事務実務士の概要と資格取得方法
介護事務実務士は、介護報酬請求業務全般について一定の能力が認められた者に対し与えられる資格です。NPO法人・医療福祉情報実務能力協会が指定した教育校が実施する講座を履修し、修了試験に合格すると介護事務実務士の資格が授与されます。通学コース・通信コースから選ぶことができる上に、修了試験は在宅試験で行われるため子育て中の女性に人気の資格となっています。合格率は7割前後。標準学習期間ははじめて介護事務を学ぶ人にも挑戦しやすい内容といえるでしょう。
介護保険事務士の概要と資格取得方法
一般社団法人・つしま医療福祉研究財団が実施する介護保険事務士養成講座は、介護保険制度に精通した介護報酬請求事務のエキスパートを養成する目的で開講されました。養成講座は、介護福祉士養成校などの福祉系学校または福祉関連の講座を開講している法人・企業等で実施されています。学生向け講座と社会人向け講座の2種類がありカリキュラムが若干異なります。どちらも介護事務職として即戦力を重視した教育が行われますが、社会人向け講座では、労務管理やコンプライアンスなどを含むやや難易度の高いカリキュラムが組まれているのが特徴です。
各講座修了後に実施される資格認定試験に合格すると、学生向け講座修了者に対しては介護保険事務士資格認定証が、社会人向け講座修了者には介護保険事務士上級資格認定証が与えられます。
介護事務職は無資格でも採用されることがありますが、介護保険や高齢者福祉に関する幅広い知識を有した資格取得者は優先的に採用される傾向にあります。介護保険制度や関連法規について早い段階から学んでおくことにより、独立開業をする時や、家族に介護が必要になった時にも大いに役立てることができるでしょう。