今後急速な高齢化社会に向けて、介護職の需要はますます高まる一方です。厚生労働省の資料によると、人口増加と高齢化を計算すると、2025年には現在に2倍の介護職の従事者が必要とされています。しかし実際は全くその数には追いついておらず、さらに介護職というと、「きついのに賃金が低い」というイメージが付いてしまっているのも事実です。
これに対して、厚生労働省も介護職の待遇改善とキャリアパスについて新しい試みをしています。厚生労働省がどのような施策をとっているのか、そして具体的に介護職はどのようなキャリアパスを描くのかを見ていきましょう。
まずはここから!130時間で取得出来る介護職員初任者研修
介護職は、まず介護職員初任者研修から始まります。これは平成25年にホームヘルパー2級が廃止されて誕生しました。在宅、施設で働く上で最低限の知識・技術を身につけ、基本的な介護業務を実践できることを目的として行われています。 介護の基本や、老化・認知症・障害への理解など130時間の講習を受けると取得できます。
次のステップ! 450時間で取得出来る実務者研修
実務者研修は、450時間のカリキュラムを要する資格になります。3カ月程度取得にかかるものですが、「たん吸引」や「経管栄養」等の一部の医療的ケアやサービス提供責任者になることができ、介護現場でのニーズも高いものです。また介護職員初任者研修終了者はこの450時間から130時間分が免除されます。平成19年の介護福祉士および介護福祉法の改正により、介護福祉士になるためには、実務者研修の修了が必須になりました。
最後の難関! 国家資格「介護福祉士」
介護福祉士は、介護職の国家資格になります。病気や加齢によって自立した生活を送ることが困難になっている人に対し、日々のお世話のほかにも、地域とのコミュニケーションや、在宅介護指導など様々な場面でケアをする介護の専門職です。
一般的には、実務経験3年以上、実務者研修修了していることが受験資格とされ、そして国家試験(筆記と実技)に合格すると「介護福祉士」として認定されます。また、養成施設などに通い資格認定を目指す養成施設ルートでは、養成施設修了で介護福祉士が取得できることになっています。ただし、養成施設ルートに関しても、平成29年度から国家試験が必要になる方向で平成27年3月5日現在審議が進められています。
介護福祉士として実務経験が5年(総従事日数900日)以上経過すると、ケアマネージャーへのステップアップが可能となります。介護福祉士は直接的に介護を行うのに対し、ケアマネージャーはケアプランの立案や相談や助言、関係機関との連携を促す役割を担います。
厚生労働省は、今後医療連携能力を持つ介護福祉士として、新たに「認定介護福祉士」の養成・技能認定等に関する調査研究を進めています。介護福祉士は医療行為を行うことはできませんが、認定介護福祉士の資格を取ることができれば、医療依存度の高い患者さんのいる現場でも、幅広く活躍することが可能となります。認定介護福祉士を含め、介護職は実務経験が受験資格となることが多いため、今後介護業界において自分がどのような役割を担っていきたいかを見据え、理想のキャリアパスを早めに描いておきましょう。