人手不足が問題視されている介護の現場では、採用した職員に出来るだけ長く働いてもらうことが重要となります。また、スキルアップの可能性や潜在能力をもった人材をより多く確保しておく必要があるでしょう。採用面接では、理想的な人材像に対する明確なイメージを持ちつつ、相手の能力や意欲、適応性をしっかりと見極めておくことが大切です。

転職リピーターを見抜くコツ

履歴書や職務経歴書に記載されている「進学」「就職」「転職」といった節目の出来事について、「なぜその進路を選んだのか」「なぜ職場を変えたのか」という疑問をぶつけてみましょう。単に理由を尋ねるのではなく、そこに至るまでの経緯を深堀りしていくことにより、相手の問題解決能力や主体性を見ることができます。成功や挫折など、過去に体験した印象的な出来事について詳しく質問するのも良いでしょう。個人的な体験について語ってもらうことにより、相手の価値観や個性を知るきっかけが生まれます。
また、短い期間の間に何度も転職を繰り返してきた経歴がある人に対しては、その職場を退職した理由について確認しておきましょう。「運営方針に賛同できなかった」「職場の雰囲気が思っていたものと違っていた」など、他者への不満にのみ終始する場合は心配です。周囲への批判だけではなく、自分の能力や弱点を認識し改善していこうという姿勢が感じられるかどうか見ていく必要があります。

トラブルを引き起こす人材か見極める為のコツ

「What」「Why」「How」などのフレームワーク(枠組み)を用いて質問を繰り返すことにより、相手の思考パターンや特徴に問題がないか見極めることができます。
対話を進めていくうちに文脈がおかしくなってしまったり、思考や思想に極端な偏りがあったりする場合は、対人トラブルを引き起こす可能性があります。サービス利用者やその家族だけではなく、多くの支援者と良好な関係を築くことができるよう、柔軟な心を持ってコミュニケーションを図る力が必要です。
実際に、サービス利用者や職場の仲間とどのように接していと考えているか聞いてみるのも良いでしょう。上から目線になったり、威圧的な態度をとったりするような側面があると、職場内のトラブルに発展する恐れがあります。

自分自身の健康状態や日々の体調管理について、普段からどのように考えているか質問するのもおすすめです。介護は、肉体的にも精神的にも負担の大きい仕事ですから、心と身体の自己管理が欠かせません。たった1人、腰痛や燃えつき症候群、うつ症状などによる休職者が出るだけでも現場の業務に支障を来します。自分なりのストレス発散方法や健康維持のための日課をもっている人ほど、仕事とプライベートの切り替えが上手く体調を崩しにくいと言われています。

実際の面接では、相手の問題点を探すだけではなく、長所や魅力、個性を対話から引き出す工夫も必要です。面接担当者は、お互いがリラックスして面接に臨めるような話しやすい雰囲気を意識するようにしましょう。