認知症対応型共同生活介護(以下「グループホーム」)を開設、運営するためには、厚生労働省令第34号「指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準」に記される内容をクリアしなければいけません。

このうち施設に関する基準については、居室、事業所、消化設備、洗面・浴室設備、立地条件など、安全かつ良質なケアを提供する上で最低限必要な間取り、定員などが詳細に渡って規定されています。
ここではその具体的な規定についてじっくり見ていきましょう。

グループホームの施設基準

認知症と診断された高齢者が共同生活を送るグループホーム。認知症の進行を緩和する目的から、病院や特別養護老人ホームなどとは異なり、一見普通の民家のような、家庭的で落ち着いた環境を整えることが推奨されています。主な施設基準の内容は、以下の通りです。

居室

「個室(1人一室)」を原則とし、その広さは、入居者の私物を収納するスペースに配慮した上で、床面積を7.43平方メートル以上(4.5畳以上)確保するものと定めています。なお、入居者に必要と判断される場合に限り、2名一室の設置が認められます。

共用施設

入居者が共同で利用する施設として、食堂、台所、便所、洗面設備、浴室、消防設備(スプリンクラー)など、日常生活に必要な設備を整備します。グループホームは、認知症かつ要介護1以上の認定を受けている高齢者が入居対象となるため、必要に応じて段差解消工事や車椅子対応設備を導入する必要があるでしょう。
また、各スペースの間取りを決める際には、利用者の動線と安全性に配慮しながら、死角ができないよう工夫する必要があります。なお、これらの共同施設は、従業員用の事務スペースや書類保管庫などと分離し、利用者の生活スペースとは別に確保すると規定されています。

定員

5人~9人以下のユニットを一つの単位とし、一事業所に2ユニット(18人)を限度とすると定められています。日中は利用者3人に対して介護従業者を1人、夜勤は1人以上配置しなくてはいけません。なお、入居者の生活に必要な設備等は、1ユニットごとに設置するものとし、異なるユニット間での共用は認められていません。 顔なじみの入居者と落ち着いた暮らしを送れることが、グループホームの大きなメリットの一つです。

立地

認知症高齢者のケアを行う上で、従業員はもちろんのこと、家族や地域住民との交流機会は欠かせない要素となります。そのため施設基準には、「利用者が家族や地域住民と交流を持つ機会が確保できる地域」であることが、グループホームの立地条件として挙げられています。自治体によっては、「半径○km以内に住宅が○軒以上」など、具体的な指標を提示している場合があるため、条件に該当するかどうかあらかじめ確認しておきましょう。

グループホームを開設するには、紹介した施設基準のほかにも、基本方針、人員基準、運営基準など複数の基準をクリアする必要があります。内容が多岐に渡るため、内容を読むだけではなく、既存のグループホームをいくつか見学に行くなど、実際の事例を通して理解を深めることをおすすめします。

こちらの記事を読むとよりグループホームの独立について詳しくなります