通所介護(デイサービス)は、介護が必要になった高齢者でも住み慣れた自宅で可能な限り自立した生活を送ることができるよう、日常生活上の支援や心身の機能訓練を行うサービスです。サービスの事業者は利用者に対してそういったサービスを提供するために、厚生労働省が定める人員基準を満たさなければなりません。今回はその人員基準についてご案内します。

通所介護(デイサービス)の人員基準とは

デイサービス事業を開業するための人員基準は、「指定居宅サービス等の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第三十七号)」の第九十三条、第九十四条「人員に関する基準」によって定められています。事業所はこの省令で定められた人員数または資格を有する従業員を採用しなければなりません。必要な従業員とその数は、各事業所の利用定員によって異なります。

管理者の人員基準

必要な従業員とその数について詳しく説明していきます。まず必要なのは事業所を管理する「管理者」です。管理者は利用定員に関わらず、事業所ごとに1人(常勤)を配置しなければなりません。また、管理者は、事業所の管理業務に支障がない範囲でほかの職務との兼務が可能となっています。また、認知症対応型通所介護の事業所の管理者となる場合は、「認知症介護サービス管理研修」を修了する必要があります。

管理者以外の人員基準(利用定員が11人以上の場合)

利用定員が11人以上のデイサービスの場合、常勤管理者1人のほか、看護職員(看護師または准看護師)、機能訓練員(理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、柔道整復士、あん摩マッサージ師、看護師、准看護師のいずれかの有資格者)、生活相談員(社会福祉士、社会福祉主事、精神保健福祉士またはこれらと同等の資格を有する者)、介護職員をそれぞれ1人以上配置するよう定められています。このうち、生活相談員もしくは介護職員のいずれか1人以上は常勤の従業員を配置しなければなりません。

また、介護職員は、利用者の数が15人から5人または端数を増すたびに1人増やすように定められています。たとえば利用者の数が16人から20人なら介護職員は2人以上、利用者の数が21人から25人なら介護職員は3人以上を配置しなければなりません。これは、介護職員が1人で何人もの利用者を掛け持ちして介護することがないようにするためです。

管理者以外の人員基準(利用定員が10人以下の場合)

利用定員が10人以下の小規模なデイサービス事業所の人員規定のうち、管理者、生活相談員、機能訓練指導員については、定員が11人以上の規定と同じです。ただし、看護職員、介護職員は、いずれか1人以上を常勤で配置すればよいとされています。看護職員を2人以上配置し、いずれか1人が介護職員としてサービスを提供するという体制も取ることができます。また、看護職員が機能訓練指導員を兼務するのも認められています。

デイサービスの事業所の人員基準は、地域によって独自の基準を設けている場合もあるので、事業所を開設する予定の市町村や都道府県に確認し、過不足なく事業を展開していく必要があります。開業直後は、利用者数が少ないこともありますが、利用者がどんなに少なくても定められた人員基準を満たす従業員を配置しなければなりません。

※上記の内容は2015年6月12日時点の情報を元に執筆しています。