通所介護(デイサービス)は、介護保険法 により規定された居宅介護サービスの一つです。デイサービス事業を始める場合は「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生労働省令第三十七号)」に定められた基準をクリアする必要があります。利用料の内訳や受領方法、提供すべきサービス、管理者および従業者の役割、運営体制、衛生管理、記録の整備についてなど、さまざまな項目に基準が設けられているので、その一部を紹介します。
利用料等の受領(第九十六条)
デイサービスの利用料(介護報酬)は、介護保険法により提供したサービスの内容、時間、利用者の要介護度によって基準額が決められており、その基準額との間に不合理な差額が生じないよう設定する必要があります。基準額は、事業所を置く地域によって違いが生じる場合もあるため、開業前に事業所を置く予定の市町村または都道府県に確認をしておきましょう。また、利用料を受領する際は、利用者に対して内容の説明を行い、同意を得なければなりません。
指定通所介護の具体的取扱方針(第九十八条)
デイサービスは、利用者が自宅で自立した生活を送れるように支援することです。そのため、利用者の心身状況や生活環境、要望を的確に把握しつつ、適切かつ最良な介護技術をもってサービスを提供することが求められます。また、利用者とその家族に対しては、提供するサービス内容をわかりやすく説明し、必要に応じて指導、助言を行う体制を整えます。
勤務体制の確保等(第百一条)、定員の遵守(第百二条)
デイサービスの指定事業者は、利用者に対し適切なサービスが提供できるよう、厚生労働省の定めた基準を満たす従業員を確保し、勤務体制を定めておかなければなりません(詳細は第二節九十三条に記載)。確保すべき従業員数については別の記事「専門職がキモとなる。通所介護(デイサービス)の人員基準」をご確認ください。また、事業者は従業員に対して研修等を実施することにより、従業員の資質向上に努めなければならないとしています。
記録の整備(第百四条の二)
事業者は、事業所の運営に関わる諸記録を整備しておく必要があります。また、通所介護計画書やサービスの内容の記録、市町村への通知に関する記録、利用者の苦情内容の記録、事故にあった場合、その事故状況および事故の処置についての記録など、利用者に関する記録は、サービスの利用が終了した後も2年間保管しておかなければなりません。
上記で紹介したのは「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生労働省令第三十七号)」に定められた内容のごく一部で、管理体制やサービスの質を向上させるために必要なことがいろいろと記載されています。上記のほかにも、地域によって独自の基準を設けているところもあるので、事業所を開設する予定の市町村または都道府県に確認しておきましょう。
※上記の内容は2015年6月12日時点の情報を元に執筆しています。