訪問看護ステーションは、訪問看護を行う看護師や准看護師等の専門職を利用者の自宅へ派遣するほか、医師や関係機関との連携を図り、在宅ケアサービスの中核的な役割を担っています。訪問看護ステーション事業者として市町村または都道府県から指定を受けるには、「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第三十七号)」に定められた人員基準を満たす従業員を採用し配置しなければなりません。
訪問看護ステーションに必要な看護師の人員について
訪問看護ステーションには、その事業所ごとに常勤換算で2.5人の看護職員を配置すると定められています。例えば週40時間勤務の常勤看護職員を2人採用し、3人目を非常勤(パート)とする場合は、非常勤看護職員に対し週20時間以上の勤務時間を確保する必要があります。ここで言う看護職員とは、保健師、看護師または准看護師を指し、どの職種を何人配置するかについては、事業者の裁量に任されます。
また、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士による訪問看護を実施する場合は、サービスを提供する地域の実状やニーズに応じた必要数を配置するとされていますが、配置しなくても開業はできます。
訪問看護ステーションの管理者とは
訪問看護サービスを実施する事業所ごとに、専従の管理者(常勤)を配置しなければなりません。ただし、管理業務に支障をきたさないと判断される場合にのみ、所属する事業所における他職務に従事することもできます。また、同じ敷地内にある他の事業所や施設等に勤務することも可能です。なお、ほかの訪問看護ステーションの管理者を兼務することはできません。
また、訪問看護ステーションの管理者は、保健師または看護師免許取得者でなければなりません。免許取得からの年数や経歴について特別な規定はありませんが、事業申請の際、管理者の職務経歴は審査されます。管理者は、医療機関における看護、または訪問看護ステーションで一定の従事経験があり、訪問看護関連の研修を受講している者が望ましいとされています。
管理者が傷病により長期療養する等、やむを得ない理由がある場合に限り、保健師、看護師の資格取得者以外の者を管理者とすることができるとされています。その際は、過去の経歴等により管理者としてふさわしい知識と技術を有していることが都道府県知事によって認められる必要があります。同時に、事業者は速やかに保健師、看護師の資格取得者の管理者を再確保することが求められます。
訪問看護ステーションの開業では、事業所を置く市町村または都道府県に事業者指定申請を行い、事業者指定を受けなければなりません。その際、書類不備や厚生労働省が定める基準を満たしていない項目が一つでもあると指定を受けることができません。訪問看護ステーションの人員基準については、地域独自の基準を設けている場合もありますので、市町村または都道府県が定める基準について事前に確認しておきましょう。
※上記の内容は2015年6月12日時点の情報を元に執筆しています。