居宅系介護ビジネスの代表格である訪問介護事業は、低コストで開業が可能という点から、新規参入しやすい市場だと言えるでしょう。とはいえ、事業所を開設するためにはクリアしなくてはいけない基準がいくつか定められています。ここでは、訪問介護事業所立ち上げの際に必要な設備基準について詳しく説明していきます。

押さえておきたい2つの専用区画とその広さの目安

訪問介護事業所を運営していくには、次の2つのスペースを準備することが義務づけられています。

1.事務室

訪問介護に関わるさまざまな事務を処理するためのスペース。広さの目安としては、事務処理をするための机、椅子、書類などを整理しておくための棚などを設置しなくてはいけないため、最低でも6畳は必要でしょう。
常勤のスタッフが増えれば、その分の机や椅子を設置しなければなりませんので、さらに広いスペースが必要になります。
事務室は、訪問介護事業以外の事業と同じ事務室であっても構わないとされていますが、この場合は、介護事業の事務スペースが明確に区分されている必要があります。壁などで仕切られていない場合は、パーテーションやカーテンなどを設置するようにしましょう。

2.相談室

利用者との面談、利用申し込みの受付、ケアマネージャーとの打ち合わせ、職員との打ち合わせなどに使用するためのスペース。広さの目安としては、最低でも4人が無理なく座って会話ができるようテーブル1つと、椅子4脚が置ける程度のスペースが必要です。具体的には、4畳以上あるのが好ましいでしょう。
10畳程度の広さの部屋をパーテーションなどで区切って、事務室と相談室に分けることも可能です。相談室は事務室と同様、他の事業と共有のものでも問題ありませんが、利用者のプライバシーが守られるよう工夫が必要です。
また、賃貸物件を事務所や相談室として使用する場合は、賃貸契約は法人名義で行わなくてはなりません。この際、使用目的が事務所であることも定められていますので、契約の際は注意が必要です。

必要になる設備の注意点

訪問介護事業所を開設する際に必要な備品や設備は次の通りです。

  • 手指を消毒するための設備など感染症予防に必要な設備
  • 鍵のかかる書庫(利用者の個人情報を扱うため)
  • 電話機
  • ファックス機
  • パソコン
  • プリンター

オフィスビルなどに事務所を構える場合、部屋の中にトイレや洗面所などがないことがほとんどですが、この場合は共有の水道設備を「感染症防止のための手洗い施設」として使用許可を得なくてなりません。
アパートやマンションなどを事務所として借りた場合は、室内のトイレや洗面所をそのまま利用できます。

自宅開業をする際の注意点

訪問介護事業所を自宅で開業できるかどうかは、各都道府県もしくは市町村によって扱いが分かれます。
共通の原則としては、「住居スペースと介護事業所のスペースが完全に区分されていて独立性が保たれていること」が条件となります。ただし、この場合でも部外者が事業所スペースに入ることを防ぐために、入り口に鍵の設置が義務づけられていたり、玄関を居住用と事業用で別々に確保することが義務づけられている場合があります。いずれにせよ、自宅に充分な広さがあって事務所を構えたいという場合には、まずは市役所などへ相談することをおすすめします。

上記で紹介した内容は、平成24年度改定の 介護保険法「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準」の第二章第三節第七条「設備に関する基準」に基づくものです。独自の基準を設けている自治体や平成27年度(2015年度)介護保険法改正が控えていたりしますので、必ず事前に確認をして、必要なものを揃えるようにしましょう。

※上記の内容は、平成27年1月28日時点の情報となります。

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ここまで記事を読んでいただきありがとうございました。
最後に、介護事業所開業支援プランについて少しだけお伝えします。

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