介護事業所が掲げる年間目標は、単に事業所の理念やスローガンを挙げるのではなく、今後1年間のうちに何をどれだけ達成するかが、具体的な施策とともに明文化されていなければいけません。そのためには、介護サービス の現状や事業所が抱える問題点を分析し、今やるべきことを職員全体で共有する過程が大変重要になります。目標管理を徹底することは、介護サービスの質と利用者の満足度を高めるだけではなく、職員の就労意欲を向上させることができます。
年間目標の設定方法
年間目標の設定や目標達成のための計画および再評価、再計画の仕組み(PDCAサイクル)を導入することによって、すべての職員が事業所のあるべき姿を理解し、その実現を意識しながら行動できるようになります。ひとつの目標に向かって、誰が何をいつまでに達成するかが明確になるため、日々の業務に対する責任感や集中力の向上も期待できます。各部門や職種ごとに役割分担を決めておくと、目標達成に向けてチームワークを発揮しやすくなり、組織力の強化にも繋がります。
年間目標は、できるだけ職員一人ひとりの意見を反映させる形で設定すると良いでしょう。例えば、現場でのコミュニケーション方法や利用者に対する接遇、業務効率、事故防止に関すること、給与や福利厚生面、研修制度の充実など、自由な発想で意見を集めた後、それらをカテゴリーごとに分けて整理します。内容が多岐に渡ってしまった場合は、優先順位をつけるなどして取捨選択し、目標を絞り込んでいきます。
事業所としての年間目標が決定したら、それを達成するためのプロセスや成果の評価方法などを検討していきます。達成に向けた方法が曖昧だと、担当者によって行動にバラつきが生じてしまうため、手順を詳細に示さなければなりません。成果の評価方法でも同様に、チェックリストなどの具体的な指標を準備するようにしましょう。
目標設定ができたら?
目標達成のための計画(Plan)を実行(Do)し、それらが計画に沿って行われているかどうか確認、評価(Check)した上で、計画の見直しや修正(Action)を繰り返し行っていきます。この一連の流れをPDCAサイクルと呼び、事業所の目標を達成するには、どの段階も滞ることなくスムーズに展開していくよう管理する必要があります。
特に、計画の見直し(Action)の段階は、確認、評価(Check)で得られる結果以上に大切な部分です。最適な見直しをするために、管理者は現場の実態をより客観的に把握するよう努めなければいけません。
実態を客観的に把握するには、全体ミーティングを行うことが有効です。各担当者を集め、現場の状況を報告してもらいましょう。
介護事業所における年間目標の管理は、事業所の経営や職員の就労環境の改善に関わる要素です。職員や利用者の声を反映した目標を掲げ、計画的に達成できるよう職員同士の連携を図っていくことが大切です。