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身体的・精神的にも負担が大きい上に、必ずしも給与・待遇面がよいとは言えない介護職は、ほかの業種に比べて離職率が高く、若手ほど職場に定着しにくいといった問題が指摘されています。「感情労働」の要素が強い介護の現場では、サービス利用者やその家族から発せられる言葉や職員間で起こる些細なトラブルが原因で離職に至るケースもめずらしくなく、上司や同僚による心のサポート体制づくりが介護職員を確保 していく上で重要になります。

介護職員の人間関係にまつわる問題の重要性

(財)介護労働安定センターが離職経験のある介護職員を対象に行った調査によると、直前の職場を辞めた理由に「職場の人間関係の悪化」を挙げた割合が最も多く、全体の約25%に及ぶことが明らかになっています。 学歴、経験などさまざまなバックグラウンドをもつ介護職員のなかで、介護に対する考え方の違いから上司とうまく関係性を保てなかったり、同僚と衝突し孤立してしまったりするなどの悩みを抱える介護職員は決して少なくありません。

介護職員間の人間関係を良好に保つためのポイント

介護職員間の人間関係を良好に保つためのポイントを下記にまとめました。

1.基本行動ルールの策定

所属する組織の一員として優先すべき態度や行動(基本行動ルール)を定めることで、職場の雰囲気を改善することができます。挨拶を徹底する、お互いの意見は尊重し合うなど、改めてルールとして掲げなくてもよいと思われそうなことほど、きちんと共有しておくとよいでしょう。介護に携わる者として欠かせない、思いやりや平等性に関するルールも周知し、お互いの立場や役割を意識しながら業務に当たれるよう配慮します。

2.人事考課を見直す

昇給・昇格等に関わる「人事考課」に、職員間のコミュニケーションについての項目を設けることにより、日頃の人間関係にほどよい緊張感が生まれます。例えば、業務上必要な報告・連絡・相談をタイミングよく行うことや、お互いの立場が違っても相手の状況や考え方を理解し、柔軟に適応できる力などが評価の対象とします。上司による評価だけではなく、自分自身による評価も同時に行うことで、より課題を把握しやすくなります。

3.コミュニケーションの活性化

日頃の業務や人間関係、スキルアップについての悩みなどを気兼ねなく相談し合える機会を設け、コミュニケーションを活性化させましょう。介護職員は、サービス利用者の心情には敏感なものの、自分自身のメンタルケアは疎かになりやすい傾向があるため、悩みを抱え込まないようにするための環境づくりが大切です。資格や経験年数の垣根を超えた事例検討会や委員会活動なども効果的です。また、職員が自由に参加できるレクリエーション行事や昼食会を企画し、食事や景品を提供する方法もおすすめです。

介護職員の離職防止対策は、事業所全体の経営・運営に関わる重要な要素です。介護職員は、業務に対する不満だけではなく、職員同士の人間関係の問題から離職に至るケースが多いため、積極的に職員の声に耳を傾けながら、誰もが働きやすい職場づくりを目指していきましょう。