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介護従事者は、勤務時間の不規則さや仕事量、対人関係の問題から「うつ状態」になることがあると言われています。日頃、身体の不自由なお年寄りの気持ちに寄り添い、きめ細やかなケアを求められる立場上、自分の心の状態に関心が向きにくく、ケアが遅れてしまうなどの理由も考えられるそうです。一度うつ状態に陥ると、問題が複雑化し回復が難しくなる場合も少なくないため、早期に発見し、適切にケアすることが大切です。

うつ状態とは?

うつ状態になると、食欲不振、過食、不眠などの症状が現れます。精神的なショックで一時的にこのような症状に陥り、1週間程度で状態が回復する場合もありますが、理由がはっきりしないまま、回復と再発を定期的に繰り返すケースも少なくありません。なかには、これらの症状が2週間以上続き、薬物療法や長期休養が必要となる「うつ病」と診断される重篤なケースもあります。

これらの症状の裏に、うつ状態を引き起こすほかの病気が隠れているときもあります。例えば統合失調症、パニック障害、不安障害、摂食障害、発達障害などが挙げられ、いずれも専門医による診断と治療が必要です。そのため、少しでも心配な症状が続いたら、早めに精神科、心療内科などを受診するよう促さなければなりません。

同僚や部下のうつ状態にいち早く気が付くには?

どんなに打たれ強い性格の持ち主でも、うつ状態に陥る可能性があります。うつ状態を引き起こす原因は、人によってさまざまです。「ミスが目立つ」「遅刻、欠勤が多い」「感情の起伏が激しい」など、従業員に少しでもいつもと違う様子が見られたら、管理者は該当の従業員に負担がかかり過ぎないように業務分担や夜勤日数の見直しを行いましょう。

職場でメンタルヘルスケアを行おう

介護従事者に対するメンタルヘルスケアを実施する前に、管理者は従業員に対して「メンタルヘルスケアを積極的に推進する」ということを表明し、周知しなければなりません。そうすることで、心の問題を抱えた従業員が、悩みをひとりで抱え込むことを防ぎ、職場全体でフォローし合える柔軟な環境を作り上げることができます。メンタルヘルスケアを実施する際、配慮すべきことは以下の通りです。

心の健康問題の特性

心の問題の発生過程には個人差があり、すべてを客観的に把握することは困難であることを前提にメンタルヘルスケアを実施する必要があります。管理者の個人的感情や偏見に基づいた評価や、個人の技量や努力不足といった理由に固執するのは避けなければなりません。

労働者の個人情報保護

相談者が安心してメンタルヘルスケアを受けることができる環境づくりも重要です。健康状態を含む個人情報は他言、流用しないよう厳重に扱うことを心がけましょう。

人事労務管理との関係

心の状態によっては、配属先変更の必要性が生じるかもしれません。新しい配属先でトラブルが生じないよう、人事労務管理部門との連絡、連携を密にしましょう。

家庭、個人生活などの職場以外での問題

職場だけではなく、私生活におけるストレスが心の健康に影響を及ぼしている場合が少なくありません。職場での状況以外にも休日の過ごし方や家族関係にも配慮しながら、適切な対策を検討しましょう。

うつ状態をはじめとする心の健康問題は、早期発見、早期対応が求められますので、十分注意しましょう。また、万が一、長期間の休養が必要になった場合は、スムーズに復職できるような体制を整備しておくと安心です。