介護予防・日常生活支援総合事業(以下「総合事業」という)の導入により、要支援者を対象に提供されていた介護予防給付の一部が、総合事業を構成する「介護予防・生活支援サービス事業」に移行されます。
移行により、既存の介護事業所に加え、住民ボランティアや民間企業など多様な主体との連携を通じ、地域に根ざした支援体制の整備、推進を目指します。
ここでは、介護予防・生活支援サービスの事業目的と内容について紹介します。
介護予防・生活支援サービスの目的
総合事業を構成する「介護予防・生活支援サービス事業」は、市町村が主体となって実施する地域支援事業の一つとして位置付けられます。
全国一律の内容・報酬単価が決められていた介護予防訪問介護及び介護予防通所介護について、市町村が、地域の実情に応じ独自の判断で内容を決定できるようになるのが大きな変更点です。
これにより、介護保険制度下のサービスだけでは支援が行き届かなかった部分にまで、切れ目なくサービスを提供することが可能となります。
特に、介護予防・生活支援サービス事業においては、要支援認定を受ける前段階にある高齢者を積極的に支援し、要支援・要介護状態を未然に防ごうという仕組みが強化されています。
既存の介護事業者以外にも、住民ボランティアやNPO、民間企業などが創出するサービスも事業に参入できるよう改め、一人一人のニーズや生活状況に応じたサービスを提供するのはもちろんのこと、地域全体で高齢者の暮らしと健康を支える体制を推進させる意図が込められています。
介護予防・生活支援サービスの事業内容
訪問型サービス
自立生活あるいは社会参加の促進を目標とし、自宅の掃除や洗濯等の日常生活支援を行うサービスです。訪問型サービスには、その運営主体や内容により以下の5つに分類されます。
訪問型サービス:現行の介護予防訪問サービスに相当するサービス。
訪問型サービスA:民間企業などが現行の基準を緩和し実施するサービス。
訪問型サービスB:住民主体による支援。
訪問型サービスC:保健・医療の専門職が短期間集中で実施するサービス。
訪問型サービスD:移動支援。
通所型サービス
身体機能及び生活機能の改善を主眼とし、体操教室や栄養改善等のプログラムを提供するサービスです。通所型サービスは、その運営主体や内容により以下の4つに分類されます。
通所型サービス:現行の介護予防通所サービスに相当するサービス。
通所型サービスA:民間企業などが現行の基準を緩和し実施するサービス。
通所型サービスB:住民主体による支援。
通所型サービスC:保健・医療の専門職が短期間集中で実施するサービス。
その他の生活支援サービス
訪問型、通所型サービスの内容以外に、地域の実情に応じて提供されるサービスは、以下のような例が挙げられます。
栄養改善や安否確認を目的とした配食サービス
住民ボランティアによる訪問見守りサービス
訪問型、通所型サービスに準じる自立支援サービス:訪問型、通所型サービスの一体的提供など
介護予防ケアマネジメント
サービス利用者の健康状態や生活状況、希望するサービスなどを踏まえたケアプランの策定を行います。介護予防ケアマネジメントには、その実施頻度やサービス利用頻度などに応じ、以下の3つに分類されます。
ケアマネジメントA:現行のケアマネジメントに沿った手順でケアプラン原案を作成しサービス担当者会議を通じて内容を決定するもの。
ケアマネジメントB:現行のケアマネジメントに沿った手順でケアプランを作成するが、サービス担当者会議や モニタリング を適時省略するもの。
ケアマネジメントC:初回のサービス利用開始時のみケアマネジメントを実施し住民主体の支援等に繋げるもの。
総合事業の一つとして新たに導入される介護予防・生活支援サービスは、以上のようにさまざまな主体を活用し高齢者の暮らしを支援する仕組みとなっています。今まで以上に、地域の住民を巻き込んだ事業内容が期待されますので、日頃から地域に根ざした運営を心がけることが大切です。
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